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“沖縄集団自決”62年目の証言/NHKクローズアップ現代から

明後日、23日に62回目の“慰霊の日”を迎える沖縄・摩文仁の丘から「NHKクローズアップ現代」が「沖縄県史」編集委員・ 大城将保さんを迎えて、あらためて集団自決の実相を解き明かすという構成での番組が放映されました。(6月21日)

先のエントリー(こちら)でこの春、高校の日本史の教科書検定で集団自決をめぐる記述から「日本軍の強制」に関わる言葉が削除されたことへの沖縄県民の怒りが渦巻いていることを記述してきましたが、今日の「NHKクローズアップ現代」では、集団自決の現場に立ち会い、かろうじて生き延びてきた古老の方々からの聞き取り調査の現場を織り込みながら、集団自決をめぐる実相というものを明らかにしてくれるものでした。
ヤマトンチュウの一人として姿勢を正さずしては視ることの出来ない心痛むものでした。

これら体験者の沖縄県民は70代も後半から80代に掛けてのおじい、おばぁ、の方々ですので、今という時間を活かすことでなければ沖縄戦の実相というものは語られざる歴史の1断片として封印されてしまいかねません。

番組の中でも語られていましたが、この生き残った方々も、肩を寄せ合って戦禍を逃れた壕の中、自決を迫られるという過酷な状況の下で兄弟姉妹から親、そして近隣の住民を亡くしながらも、様々な条件が重なり自身が生き残ってしまったという、ある種の負い目から、例え身内の関係であっても、こうした実相を話すことは無かったということがあったのでしょう。

そうした人々の重い口を良いことに、藤岡信勝(自由主義史観研究会)など歴史修正主義の輩の手によって、あるいはこうした史実を葬り去ることを自身の立脚点とする“戦後レジームからの脱却=美しい日本”安倍政権の教科書検定での策謀であったのでしょう。

しかしこれらのおじい、おばぁも残り少ない命に代えて、ぽつりぽつりと、決して忘れはしない集団自決の現場を語り始めているのです。
番組では
  • 自らの手で家族3人を殺めた古老の証言らが印象的でしたし、
  • 5〜6人の一族を焼き殺した男性を見たという古老、
  • 逃げまどっていた時にアメリカの捕虜になったらスパイとして扱われてひどい目に遭うからこれで死になさいと手榴弾を渡されたと証言するおばぁ、
  • 日本兵から舌を噛んでも自決しろと言われ、母親から殺され掛けたというおばぁ、
    (この親子は生き残ったが、戦後の日々2人でこの悲惨な事実を語り合うことは無かったという)

こうした様々な沖縄戦の過酷な実態というものは沖縄県民にとっては共通の了解事項であり、拠って立つ基盤であったのでしょうから、先のエントリで上げたような沖縄県民の怒りとして結集されのは必然であったのでしょう。

沖縄戦と民衆また番組では「軍の強制はなかった」という新検定基準の根拠となった文献『沖縄戦と民衆』の著者、歴史家・林博史氏がインタビューに応じ、「この本のどこをどう読めば軍の強制がなかったという検定意見が出るのか、全く理解が出来ない」と重要な証言があり、これにはびっくり。
この文献での結論は自決というものが“日本軍の強制と誘導によって”行われたということを結論づけているというのです。著者の怒りも当然です。
つまり文脈を無視して、都合の良い断片的な部分だけを引用する形で強制はなかった根拠にしているのですね。

これが一国の検定教科書の根幹を為す、文科省役人たちの姿なのです。歴史の前に誠実に臨むのではなく、そうした姿勢とはかけ離れた実に政治的、思想的なバイアスを掛けた検定意見を出すのですね。
これまで一貫して教科書に記述されてきた重要な史実をあえて曲げて歴史の奥底に封印させようという画策しているのです。

ゲストの 大城さんの言葉で印象的だったのは、「沖縄県民の悲しみと怒りというものは、県民の4人に1人が殺されたという沖縄戦の被害よりも、むしろ日本軍から裏切られたという記憶」という日本というものを鋭く突く言葉でした。

この沖縄戦をめぐる歴史への冒涜というものは、先に大きな問題になった「従軍慰安婦は軍の強制があったわけではない」という安倍晋三の姿勢と全く位相を同じくするものですね。
一昨日のエントリではこの従軍慰安婦問題の米下院外交委決議案が26日に採決されるのは不可避、ということを取り上げましたが、如何に教科書から歴史を無きものとしようとも、民衆は黙ってはいないでしょうし、語り続けられるものです。

安倍晋三の“戦後レジームからの脱却=美しい日本”などという戦後まるごとへのルサンチマンは個人の思想基盤であれば勝手におやりとも言えますが、1国の首相となれば、民衆は黙っているわけにはいかないでしょう。
これほどまでに愚弄されて黙っているという愚かな民衆が私たちであるとするならば、私たちには明日の未来は訪れないでしょう。

あらためて23日沖縄慰霊の日に死地に追いやったヤマトンチュウとして襟を正して頭を垂れることから始めたいと思います。

* 追記 07/06/22
安倍晋三首相は「慰霊の日」沖縄全戦没者追悼式に出席するそうです(首相の追悼式出席は、小泉純一郎前首相時代から4年連続)。
沖縄を米軍支配下に追いやった張本人が60年安保改定を強行した晋三氏のおじいさん岸首相であり、軍の島という現状を固定化したまま復帰させたのが晋三氏の叔父の佐藤栄作首相でしたが、どの面下げて沖縄県民の前に立つというのでしょう。
artisanyuh * 社会の時間 * 22:51 * comments(9) * trackbacks(1) * pookmark

コメント

こんばんは
ペンギンさんの「意志ある」エントリーに敬意を表します

「自決」に対して「軍の強制」がなかったということにする方向は、その「強制的集団自殺」という本質を覆い隠し、あたかも「お国のために自ら美しく散った」という形にすりかえようとすることであり、今また「日本」は二重の過ちを犯していると言えます。
それは、言わば「靖国の論理」と同じ論理を沖縄にあてはめようとするものであり、国家が犠牲者を死後において「顕彰」し「称える」ことによって、その死における責任の所在をうやむやにし、次の犠牲者をも想定する。そんな思考回路は、ふたたびの悲劇しか生まないでしょう。許されるべきものではありません。

そういった内容を詳しく理解できる、ノーマ・フィールド著『天皇の逝く国で』と、雑誌『世界』7月号を、多くの人に読んでもらいたいと思います。拙ブログ記事『天皇の逝く国で』をTBさせていただきます。
Comment by しげぞう @ 2007/06/22 12:00 AM
自由主義史観研究会の木村と申します。

私達は6/21放送の「クローズアップ現代」用の取材依頼を受けました。NHKは‘双方の主張を紹介したい’ということだったので協力しました。が、梅澤元少佐と赤松大尉の無実を主張する私達の意見や証言は、ことごとくカットされておりました。

私達は放送にあわせて急遽、沖縄集団自決特集をアップしました。よろしかったらお読みください。

http://www.jiyuu-shikan.org/tokushu.html

番組では私達の団体名すらマトモに紹介されなかったので、コメント欄からお知らせする以外に手段がなくなってしまいました。御迷惑でしたら、削除なさってください。最後までお読みいただきまして、有難うございました。
Comment by 自由主義史観研究会W @ 2007/06/22 3:48 AM
どうもTBがされないようです(度々失敗してます)
もちろんよそに打つのと同じようにやっているのですが・・・
何かの理由ではじかれているのですかね
FC2であるのが問題なのかな?
Comment by しげぞう @ 2007/06/22 7:44 AM
自由主義史観研究会の木村さん、
>梅澤元少佐と赤松大尉の無実を主張する私達の意見や証言は、ことごとくカットされておりました。
それは全くデタラメですね。
番組内では梅澤元少佐の記者会見の模様も、藤岡信勝氏のインタビューも“公平に”扱われていましたよ。(私は録画していますので間違いありません)

あなた方の論理と、歴史分析の手法は、番組で取材された生き証人・沖縄のおじぃ、おばぁの前にはもろくも崩れ去る姑息で薄汚いものでしかありません。
関連するBlogに組織的に投稿しているようですが、悪あがきでしかありません。
またその目的が皇軍の美化であり戦争の美化であるのでしょう。つまりは新たな戦争を準備するものであることは隠しおおせませんね。
Comment by 管理人 @ 2007/06/22 8:06 AM
しげぞうさん、的確なご指摘と論理の鮮明化に感謝します。
>「靖国の論理」と同じ論理を沖縄にあてはめようとするもの
全くその通りですね。
沖縄の近代史は日本のそれの裏面史です。日本のめざましい戦後復興と、経済大国化も基地の島、沖縄無くしては語れません。
教科書検定問題とは、またあらたに沖縄を切り捨てようという国家意志の表れですね。こんなことは絶対に許容できません。

TBが何故機能しないのか不明ですが、相性が悪いのでしょうか。ブラウザ代えたらどうなのでしょう。
読者の方は投稿者名のハイパーリンクから『天皇の逝く国で』記事をご覧ください。
Comment by 管理人 @ 2007/06/22 8:07 AM
>〜にはもろくも崩れ去る姑息で薄汚いものでしかありません。

口が汚いのは生来のものですか?教育のせいですか?
Comment by wktk @ 2007/06/24 2:16 AM
wktkさん、コメントありがとうございます。
ご質問の意味するところが良く判りませんが、
安倍政権の拠って立つ思想基盤が「新しい教科書‥」「自由主義史観‥」の言論人によるものであるとすれば、彼らが“姑息で薄汚い”のは、史実を歪めることでしか、戦後民主主義を形成し、守ってきたリベラルあるいは左翼陣営への激しい恨み辛み、ルサンチマンを果たすことができない、と言うことなのではないでしょうか。
適切な答えになっていませんが、今彼らの組織がずたずたに瓦解しつつあるところにも、確固とした理念の下に集まったものではなく、呉越同舟に単なる私憤を晴らすための拠り所でしかなかったことが明らかになっていますね。
Comment by 管理人 @ 2007/06/24 9:08 AM
沖縄戦と民衆の本や沖縄戦の本は信憑性があるのか?作者が話を大きくしすぎてないのか?沖縄戦のやる瀬ない気持ちを日本軍の性にしただけでないのか?アメリカや共産&社会主義者に日本軍のせいにして、自分達の正当性を押し付けるためにでっちあげたのだと思う
Comment by まーくん @ 2007/08/14 9:08 PM
まーくん、今も1945年の沖縄戦体験者がおられその過酷な戦争体験を語ってくれています。また多くの残された記録、フィルムからその実相に近づくことも出来ます。
安易に根拠のない“でっちあげ”説をばらまくのはまーくんの人間性が問われますよ。
Comment by 管理人 @ 2007/08/15 7:40 AM
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NHKクローズアップ現代「“集団自決”62年目の証言」

 車を運転しながらテレビの音声だけ(画面は見ていませんでした。念のため)を聞いて

From 憲法日々徒然 @ 2007/06/22 11:25 PM
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