チェ・ゲバラの生きた時代(没後40年)
2007.10.09 Tuesday
米国一国による世界支配の野望に多くの国と市民が屈従させられ、「反テロ」の標語は黄門さんの印籠のように問答無用の響きを持って私たちの生活の隅々まで浸透してきているかのよう。こんな時代、いつもでも続くはずはないよねと自問自答する、そうした思いの裏には私たちが若かったリベラルな時代の記憶がある。
その60〜70年代のリベラルな時代に燦然と輝いていた星の1つがチェ・ゲバラであったことを否定する人はいないでしょう。
今日10月9日はチェ・ゲバラが「数多くのベトナムをつくるために」ボリビア山中でのゲリラ戦の展開中、CIAの手先に捕らえられ銃殺された日。
1967年のことですから、40周年ということになります。
キューバはもとより、故国アルゼンチンを含め南米の至る所で追悼記念が行われているようです。
キューバ本国では遺骨を納めたサンタクララの霊廟前で追悼記念式典が執り行われるようですが、残念ですが同志フィデル・カストロの姿はそこにはありません。
没後40周年、キューバ革命50周年、と、時を重ね、若者のTシャツに印刷されたチェ・ゲバラのベレー帽姿は今も色褪せはしないものの、若者たちの口からチェ・ゲバラが熱く語られる事などはもはや無いのかも知れません。
しかしチェ・ゲバラが遺したのはTシャツに印刷されたファッションの世界における1つのアイコンだけではないでしょう。
彼の革命思想とその生き方はもはや過去のものという訳知りの解説は40年という時間の蓄積を考えればもっともらしく聞こえるかも知れませんが、米国一国による世界支配の野望が成就されていくだろうといった妄想と同じ程度に嘘です。
チェのように革命軍を率いて武装闘争を指導し、革命政権を打ち立て、その後国境を越えて不正のあるところへと旅を続け、パッシブな反戦運動ではなく、アメリカ帝国主義に果敢に闘うベトナム民衆を励まし続け、世界至る所に「数多くのベトナムをつくるために」闘い、そしていつの時も鋭い洞察力で情勢を分析し、戦略を練り、倫理的で自己に厳しい一方、同志にも民衆にも常に愛情に満ちた関係を作ることのできる人間 ─ 英雄という尊称がこれほど似合う人物。革命後もどくへ行くのにも軍服にベレー帽とひげ面。葉巻をくゆらす口元も美人が通ると鼻の下を伸ばしていたという人間くささ。
このような非凡な人物がまた再び現れるとは思いませんが、しかし人は時代が作るものでもあるでしょう。
ソ連崩壊、新自由主義経済の跳梁跋扈という世界の潮流は明らかに国と国との関係、人と人との関係性をより貧困に脆弱にしつつある現在、この混沌とした闇夜をぶち破り、ミネルバの梟が飛び立つのを待つ、じりじりとした時代なのかも知れません。
もとより、新たな時代を切り拓くためにはチェのような英雄の登場も求められるでしょうが、まずは彼が遺した足跡をセンチメンタリズムに回顧するだけではなく、いくつかの論文、書籍に彼の思想を訪ねることからはじめることも意味のあることでしょう。
*来たる2008年12月はフィデル、ラウル両カストロらとともにキューバ革命を成就させる突破口になったキューバ第2の都市・サンタクララへの進撃から50周年になります。
*『ゲバラ日記』は、現在では 角川文庫がもっとも入手しやすいでしょう。






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